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「夏色シネマ」発売(1999年6月23日)を記念いたしまして、またまた「蛇足」をダラダラと述べさせていただきました。。。 言わなくてもいい事は、言いたい事でもあり、知らなくてもいい事は、知りたい事だと信じて。いや、インターネット上にコミュニケーション手段を持つ貴方だからこそ。いや、「ゐ部屋」から正確な今の考えを発信しておくべきだと。いや、みんなが「更新しろっ」ってうるさいから。いやっ・・・。 まぁどれも当てはまって居ると言うか、当てはまって居ないと言うか、取り敢えず書いてみたので読んでおいて下さい。アンケートも設置して、意見が聞けて、意見を取り入れて、なるべく解りやすい物をと考え、簡単に、簡単に、と言う気持ちとは逆に、深みに、深みに、と入って行く・・・。まぁ主旨とは外れてないと思うので、飛行機だけは勘弁なっ(by 特攻野郎Aチーム)。。。。 1999年6月吉日 ゐさお
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通常のリリースと異なる、今回のコンセプトアルバム「夏色シネマ」。最初の予定はこうでした。2月の半ば、マキシシングルを発表するつもりで、企画(予算)を組んでいました。それは今までのシングルリリースのように、ヒットシングル狙いでなく、もっと我々の音楽性を重視したリリースをするべきだと言う見解が、我々とスタッフの間であったからなのです。しかし、現在マキシシングルと言われている物を、今、我々が世の中に発表する必要、または必然があるのかどうか、という所に私くしは少し引っ掛かりを覚えたのです。では先ず、マキシシングルとは一体何なのか簡単に説明する事にしよう。 |
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そもそもマキシシングルとは、New Yorkのディスコレーベルから、プロモーション用に出回っていたLPサイズ(12inch)の黒盤にダンスMIX(サイズが長くなっている)が入っている物の、一般的な総称であります。当時ジャイアントシングルとも呼ばれ、基本的にはディスコでDJにかけてもらうため配られていた、いわゆるプロモーションサンプルだったわけです。 そんな風潮からディスコ(?)寄りな方々のリリース形態になっていった訳ですが、最近はそれだけに限らないようであります。いずれにしろ、あるスタイルがバックにある物な訳ですから、その必然も考えるというのは当然の事でありまして、まぁそんな事も知らず、考えずでリリースしている人は全く居ないと、私くしは固く信じておりますが・・・。と、色々な事をふまえた上で、当たり前のリミックスやバージョン違いではなく、今までとは全く違う切り口で、リリースを考えようと思ったのもこの頃であります。 |
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時を同じくして、私くしは非常に疲れていました(笑)。そして考えなければいけない事も、多分にのしかかっておりました。さぁどうするか?・・・話はそれますが、私くしがこの仕事を長く続けられると自ら思う理由のひとつに<リフレッシュが得意>というのがありまして・・・温泉に行こう!と思い立ったのであります。だいたい仕事が終わったのがPM4くらいで、次の日の仕事がPM2だったので、約10時間。と思うが早いか、取るものも取らず、バイクを南に走らせていました。たどり着いた場所は、湯河原温泉。 湯河原は滝が多くある所でもありまして(五月みどりが住んでいる所でもありまして?)、早朝散歩をしていると、木々を渡る鳥の声、小川のせせらぎなどの音によって、自然に心が浄化されるのを感じました。たぶん写真家だと感動した風景に出会った瞬間、シャッターを切りたいと思う衝動が沸き上がるのではないでしょうか。それと同じように、この音場(空間)を切り取って帰りたい。その時斯様に思った訳であります。しかし、この初期衝動からjungle smileとの接点を見い出すには、まだまだ長い道のりがあったのです。 |
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衝動以降、私くしは色々と考えを巡らせておりましたが、実はそれはjungle smileとしてでは無く、ゐさお個人として考えていたのです。内容については今のところまだ企業秘密。でも、ちょっとバラすと(爆)Octa Phonicや最新のDSP[digital signal processor]というシステムを使って自然の音場を再現し、そこに空間を演出する音楽を付加するライブをやろうなどと・・・考えておった訳であります。そんなある日、移動中のタクシーの中で「鼻歌」を歌う高木の声が、妙に響いてきたのです。(同時にみんなに聞かせたいとも思ったのでした) 移動中高木が歌う鼻歌は、自分の曲でありながら、キーもテンポも違う(低く遅い)物でした。私くしは高木の声域のこの中低域が、非常に美しい響きを持っている事を知っておりましたが、実際この声域を使っての楽曲は多いとは言えません。それは張り、艶、感情等の面においては、高域の方が当然効果があり、表現しやすく伝わりやすいと考えるからであります。もし中低域を使うならば、それと調和の取れたアレンジを呼んで来る必要があります。実はこの場合のアレンジこそ<自然環境音>と<jungle smile>との接点を見い出す鍵となったのです。 |
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前述した自然音場再現ライブは、単に切り取った空間を技術的に再現するだけでなく、そこに音楽を取り入れる事によって、時間の流れや、微妙な感情の流れを表現したいと考えておりました。しかし音楽と言っても、その空間にバイオリンやピアノなど、ある固有の楽器の音が入って来ては成立し得ないと思うのです。なぜならばバイオリンやピアノの音は、その楽器の形や演奏している人の気配を、簡単に想像させてしまうからなのであります。もしあなたがその音場の中で目を閉じ、自分が海岸で一人たたずんでいる疑似的体験をしている時に、いきなり小躍りしているバイオリン弾きが現われたら、きっと一気に現実に引き戻されるでしょう(笑)。 その点シンセサイザーは、もともとヴァーチュアルな物ですから、余計な想像をさせず、聴いている人にとって非常に個人的に響いて来る音と言えるのです。<自然環境音>の中に存在し得る音楽(音)、そして高木の<中低域の歌>が呼ぶ音楽(音)。それはまた、その両方が共存するために重要な触媒となる<シンセトラック>だと確信したのです。そしてその3本の柱によって形成される音楽に「夏」と言う季語を加えたのが、今回のコンセプトなのであります。 |
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更に、実際音にする前に「小旅行」「音のロードムービー」「ダークサイドの夏」などの多くの表象によって肉付けされました。通常jungle smileの楽曲は、その時の旬をお互い「音にしながら」絞り込んで行く方法で製作されておりますので、この「実際音にする前」に落し所を考えてから製作に移った事こそ、今回の「コンセプトアルバム」たる所以であります。しかし今回のコンセプトは、音楽的にも技術的にもあらゆる側面において危険が伴ってくるものでした。それは少しでも詰めが甘い箇所があれば、聴いた人が「ふぅん、こんな事やりたかったんだぁ?」で終わってしまう可能性を十分に含んでいるからなのであります。 我々が「夏色シネマ」の媒介としてCDを選んだ事は、同時に音楽として当たり前に聴けなければならないと言う事も意味するのであります。もしライブのみという事であるならば、場所、システムなど、聴かせる環境をこちらから限定できますが、CDの場合、最終的な環境はユーザーに委ねる事になるので、あらゆる環境で成立する物でなくてはならないのです。それでいて、前途したコンセプトが単なるギミックにならないように、落とし込んで行く必要がある訳です。 実はこの重要な話し合いの段階から、私くしはこの製作に適任と思われる、エンジニアの杉山氏に協力を依頼したのであります。 |
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杉山氏はもともとNav Katzeのプロデューサー&エンジニアであり、自分自身もテクノのアルバムを出している、正にクリエイティブなエンジニアである他、S&Rマガジンからの執筆の依頼も受けている、自称「アレンジのできるライター」・・・って、エンジニアは何処行ったんでしょうか?と、言った(?)適任な方である訳です。それと、私くしとの相性の問題もありまして・・・。世のプロデューサー/アレンジャーなどと言われている方々と、私くしは結構ぶつかってしまって「はい、それまでよ」って事が何度かありました。ですから、自ら共同製作を希望するなんて事は、今まで無かったんですが、杉山氏とは長いお付き合いをさせてもらって気心も知れてますし、何より自分の考えを押し付けるタイプでなく、相手の考えを引き出すタイプのプロデューサーなのであります。そんな杉山氏の支えもあり、我々の考えを更に明確にさせ、レコーディングへと進行して行ったのであります。 今回のようなコンセプトアルバムにとって、音にする以前の考え、話し合いは非常に重要な事だったと感じました。詰めが甘いために単にマニアックに響いてしまう、「変わった感じ」と簡単に片付けられてしまう、そういった可能性を十分に含んでいる音楽だからこそです。ですから、ここで特筆させていただくべき事は、この重要なレコーディングに至るまでの考えの流れを、と思い筆を取りました。長々と述べさせて頂きましたが、一読いただければ幸いです。 |
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そんなこんなで完成した「夏色シネマ」は、我々が自信を持って皆さんにお聞かせできる作品に仕上がりました。実は、完成した自分の作品を何度も聴き返したりするのは稀なんですけれども、「夏シネ」は聴いているんですよねぇ。これが。満足。更に調子づいて、次のコンセプトアルバムも、思いついちゃったりしています。がはは。そうだなぁ、完成は再来年?ぐらいかなぁ。まぁそれまでジックリ考えさせてもらいますわ。まぁここだけの話、次のコンセプトは、サントリーホールで・・・・・・(終) 1999年6月27日 吉田ゐさお
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今回も最後まで読んでくれてありがとう。ここから先は「夏色シネマ」を、全部聴いてくれた方だけに限らせてもらいます。そして聴いてくれた方も、ここより先にある物は「夏色シネマ」の貴方の持つイメージを限定してしまう恐れがありますので注意して下さい。って程たいそうな物じゃないですけど。でもそこまで言われると、見たくなっちゃったでしょ?いわゆる製作に関するネタばらしですので、興味の無い方、知る必要の無いと思う方は、御遠慮下さい。 |