「祈り」(表裏一体mix)
作詞 高木郁乃
作曲・編曲 吉田ゐさお
Keyboards & Region Conduct 吉田ゐさお
Recording 杉山勇司、吉田ゐさお
Mixing 吉田ゐさお

で、その見直したアレンジのひとつ、がコレ。かっこいいね。ボツテイクだからって悪い訳じゃないのよ。ただアルバム全体を考えた時、どうだろうか?「あすなろ」の中に、もしこのテイクが収録されていたとしたら、どうだろうか?このテイクのようなテイストに、アルバム全体を仕上げて行くのか? このテイクだけ肌触りの違う楽曲として収録するのか?そんな事を思い巡らせながら、自分でボツテイクと判断したんだろうなぁ。「そんなんだったらはなっから、あすなろテイストで作りゃぁいいぢゃぁねぇかぁ!」と、江戸っ子のあなただったら言いたくなるでしょう。せっかちだから。
 きっと、今これを読んで下さっている皆さんは「あすなろ」を聞いて、それぞれの「あすなろ」テイストを感じ取ってくれていると思います。しかし作者は「あすなろ」を作り始める前に、一度も「あすなろ」を聴いた事は無いのです。そんなの当たり前だとお思いでしょう。が、作る前に聴けたか、聴けないかでは、大きな違いがあるのです。

 先日、ある映画監督とお話する機会がありまして、色々な話をする内に、新作の映画の構想のお話に・・・。まだ本(*1)は書きはじめて無いようですが、時折目に涙を浮かべながら、熱く映画の内容を説明して下さいました。お世辞にも話が上手とは言えませんでしたが、その監督の話を聞いているだけで、出演者の動き、表情、映像の質感、カット割り等が、頭に浮かんで来ます。その時の監督の話し方はまるで、その映画を見た人のようだったのです。いや、きっともう見たのでしょう。
 手探りで、時には遠回りをしながら、始まったアルバム製作でしたが、ある瞬間から全てが、ある一点に向って動きだしました。はっきりと聴こえて来た、音。それをもし言葉で表わすなら「あすなろ」と言う言葉だったのかもしれません。

 しかし、だからといって、簡単にボツにできない、思い入れのあるテイクもあるのです。ちなみに世の中には、「イメージ」だとか「スタイル」だとか「コンセプト」だとかに縛られて、やりたい表現を制限されたり、自分の曲がなかなかアルバムに収録されなかったりすると、ソロアルバム(*2)なんて手法を取って、思う存分ストレス発散しつつも、バンドに戻れば、またやりたい事とは違う表現だったり、自分の曲が採用されなかったりして、「一体俺は何なんだ?」と、答えの出ない自問自答が始まって、メンバー、スタッフのちょっとした一言に、突っかかったり、言わなくてもいい文句を言ったりして、だんだん現場の雰囲気が重くなり、会話も無くなる悪循環繰り替えし、あわや解散なんてバンドも少なく無いのであります。そこいくとjungle smileは、俺自身でもある訳でして、こうやって思い入れのあるアウトテイクも、違った形で収録できたりして、満足。それにしても、アルバム後発のマキシシングルってのも、色々と面白い音源が入れられて面白いねぇ。これは当たりでしたね。

(*1)本・・・脚本。
(*2)ソロアルバム・・・通常バンド、グループで活動しているメンバーの内の一人が、自分の趣味、趣向だけで製作されるアルバム。母体のグループのセールスより、通常は落ち込むが、それより売れたりすると、困った結果になる。